無敵の剣
「私の友は、治らないからと
高い薬を拒んだ
高い薬だから効くとは限らない
でも、私は…
生きて欲しかった
もっと… 一緒にいたかった
時の流れを 季節の変わるのを
2人で楽しみたかった
死んでしまったら… 何も出来ない
彼女が亡くなる前になって
あれがしたかったとか
どこに行ってみたかったとか
やり残したことがたくさんあると
口にしたが……
私は、何一つ叶えてやれなかった
何もせず、逝ってしまうなんて、ズルイ
私だって…
してあげたかったことがたくさんある」




よく喋った…



珍しいと自分でも感心するほどだ





「……おおきに」




深雪がにこりと笑った



「みっともないと笑われても
足掻いてみます!」



「長生きしろ」



「ふふふっ はい!
では、支度します!」


「え?」



「斎藤さんが京までお伴して下さると
文にあります」



近藤さんの文につけ足された
土方さんの字


〝斎藤と京まで来られたし〟




……籠を用意してやれよ



心の中で舌打ちをする




私より、少し背の高い深雪
華奢な体だから、背負えないことはない


でも、女だとバレる危険は、極めて高い



土方さん… 私が女だと知ってる?

嫌がらせなんじゃないか?




雪のおかげで金は、持っている




籠を呼ぼうかな…




「籠が到着しました!」




呼んでるんじゃないか!!!


土方さんに、仕事の内容をきちんと聞かなかったから、心の中で右往左往している








次からは、ちゃんと聞こう




















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