無敵の剣
「ここには、誰も近づくなと言ったはずだ」


土方さんがギロギロと私を睨む



「五月蠅くて」



「なんだと…」



「生ぬるいやり方してるんだろ?」



「は?」



「私にもさせろ」



土方さん… 


私は、貴方の為なら

貴方以上の鬼になれる






貴方の代わりに、この手を血塗れにする事だって、辛くない







「…風の強い日に火を放ち
天子様を攫い、混乱に乗じて守護職を打つ」







私の拷問で、古高俊太郎が吐いた

「斎藤」

土方さんが呼んだ



「お前か… ミツを寄越したのは…
新選組からの間者を嫁にしてしまうとは
クソ… クソ…」



古高が、悔しがる



私は、冷静に古高を見下ろしていた





「行くぞ」


土方さんに言われて、蔵を出た



「武田から…
ミツは、自害したと報告を受けた」



「そうですか」







普通に答えたら、土方さんが振り返る





「すまなかった」




あぁ…


私より、辛そうじゃないか…


土方さんは、こういう人だった…




「ミツの実家は、池田屋という旅籠です
恐らくは、両親も長州と関わりがあるかと…」


「斎藤…」


「クスッ 今夜、会合があるはすだ
叩きに行くんでしょう?」


「ああ」






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