妹幽霊 兄と過ごした七日間
「お兄ちゃん、牛乳」
「牛乳って」
「メロンパンには牛乳でしょ!」
「仕方ないな」
面倒そうにキッチンに行って冷蔵庫を開けたお兄ちゃん。
「あー。今、品切れ」
「嘘でしょ!?」
「朝、飲んじまったよ」
「詩月の分、残しといてよー!」
「だってお前――――」
言いかけてお兄ちゃんは黙り込んだ。何か急に辛そうな顔をする。
あ。そっか。
わたし、死んじゃったんだもん。残ってるわけないよね、牛乳。
「ごめんね、お兄ちゃん」
「別に……」
「急にいなくなって、ごめんね」
「詩月」
お兄ちゃんは、寒いのを我慢してわたしを抱きしめた。
本当はずっと辛かったんだ。
自分の感情を押し殺してきたのかな、この一ヶ月。