妹幽霊 兄と過ごした七日間

 一週間。それを過ぎたらまた離れ離れ。
 それがいいことなのか、悪いことなのかもわからない。


 でも、でもね。それでも、わたしは会いたいって思ったんだ。お兄ちゃんのこと、本当に好きだから。



「詩月、準備が出来たぞ」

「はい」



 見下ろしてみた世界はいつも通りに動いていて、人間は時計ばかりを気にしては忙しそうにしている。


 わたしもその中の一人だった。
 ううん、ちょっと違う。だってわたしはまだ中学二年生。
 大人みたいに忙しいっていうことは、経験していない。


 経験、出来なかった。



「おーい、詩月《しずく》」



 わたしは面倒そうに呼びかける彼を振り返る。


 やけに毛並みのいい黒猫。


 この世界に紛れるなら、猫の姿が好都合とか言ってた。何も縁起の悪いとか言われている黒猫にしなくてもいいのに。


 可愛くない。白がいい。
 正体が天使ってのは、秘密事項。



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