妹幽霊 兄と過ごした七日間
「詩月がいなくなってから、随分悩んだんだろう。お父さんもお母さんも、仕事を理由に詩貴の悩みを聞いてやれなかった。だから、詩貴が笑顔をなくしたのはお父さん達のせいだ」
違うよ。お兄ちゃんを追い詰めたのはわたし。お父さんもお母さんも、悩ませて悲しませた。
わたしは、みんなより先に死んでしまったから。
どうしようもなかったことかもしれない。でも、こんな形で別れることになったんだもん。
責任、感じちゃうよ。
「夏休みだしな。家をあけても、遅くに帰ったとしても構わない。妙なことをしていても何も言わない。ただ、スマホの電源は入れておけ。連絡は取れるようにすること」
お父さんはそう言って味噌汁のお椀を口に持っていく。お母さんはちょっと心配そう。
「ありがとう」
いいな、家族って。
すごくあたたかい。
「全部終わったら、また笑ってくれるといいな。なあ、母さん」
「あなた、それは強要することじゃありません」
「……それは、努力するよ」
わたしも一緒にいられたらよかったのにな。