妹幽霊 兄と過ごした七日間


「新庄詩月」

「はい」

「会いたいと言っていたのは兄の詩貴《しき》。間違いないな?」

「はい」



 すごく緊張するのは、黒猫天使さんの表情がよくわからないから。暗いせいで怒っているみたいに見える。



「詩貴には君の姿は見える。しかし、他の者には見えない。その点は注意するように」

「はい」

「期間は今日を含めて一週間。七日目の夜に迎えに来るからな」

「はい」

「それから、この一週間の記憶は詩貴から消える。よいか?」

「……はい」

「では、一週間後に」



 こうしてわたしは、幽霊として詩貴お兄ちゃんに会えることになった。


 きっと、びっくりするんだろうなぁって思いながら目を閉じる。


 光に包まれていく中で思うのは、やっぱり詩貴お兄ちゃんのことばかりだった。


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