妹幽霊 兄と過ごした七日間
ため息混じりに彼氏を演じてくれるお兄ちゃん。氷みたいに冷たいとわかっていて、わたしの手を握ってくる。
「お兄ちゃん」
「今日は彼氏なんだろ?」
「うん」
「だったら、詩貴って呼べよ」
「ふあ!?」
「なんつー声を出すんだ。詩貴って呼ばねえとクリームソーダは食わせない」
「そこまでやる?」
「やるなら徹底的に、だ」
まさか、そこまでやるとは思ってなかった。顔が熱くなる……気がする。
「し、詩貴」
「よし、詩月。行くぞ」
公園デート。
叶わなかった約束。
伝えられなかった想い。
未練がありすぎて、わたしはますます帰れなくなる。
このままここにいたいって、願うことは間違ってる。でも、願わずにはいられなかった。