10歳の年の差はどうやって埋めますか?
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その日常とは離れた空間に立つ。

この重厚ななんとも言えない威圧感を肌で感じる。

若い頃には寄り付こうともしなかった美術館。

大きな深呼吸をして、その中へ私は吸い込まれていった。

そこで絵を見ながら、思いを巡らす。

その始まりは35歳に近づいたある日。

私は住んでいる市の美術館の新聞記事を見た。

いつもなら気にもとめないはずのある特別展の紹介。

何だかその時は目が離せなかった。

私はそのまま、導かれるようにパソコンを開く。

それ程遠くないその美術館のホームページを、食い入るように見た事はしっかり覚えている。

でも今はどんな絵が飾ってあったのか憶えていない。

こんな感じで私の美術館通いは始まったのだ。

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