10歳の年の差はどうやって埋めますか?
私は男性の表情を見た。

特に不審な点は感じない。

ただ…、明らかに私より若い。

「最近、よく美術館でお見かけしますね。やっと声を掛ける勇気を出したらあなたが休憩してしまうなんて、どうしてこう間が悪いんだろうと思いました。」

「最近?」

「ええ、こないだは市の美術館、その前は百貨店の展覧会…。」

「えっ?」

「何となく今日はここかなと思って来てみました。」

私は目を丸くする。

「あっ、ストーカーじゃないですよ。多分好きな絵の趣味が似ているんでしょう。それにお仕事をされているようなので、いつも日曜日にいらっしゃる。」

少しムキになっているが、優しい温かな雰囲気が何となくほっとする。

「私も先日の市の美術館であなたに不思議な感じを受けました。」

私は素直に答えた。

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