10歳の年の差はどうやって埋めますか?
「悠希。」

「総。」

どこかのバカップルみたいだ。

そして私達は満足したかのように、唇を重ねる。

「やっぱり面倒くさい人ですね。」

総は照れくさそうに笑う。

「悠希には一から十まですべて言葉にしないと伝わらない。」

「実は清水君にも“男前”って言われているの。」

私は思わずそんな事を言った。

「その名前を悠希の口から聞くのはあんまり嬉しくないけれど。そう言えば、市役所で声を掛けた人も言ったな。」

「彼女、長谷川さんっていって、私の直属の部下なの。彼女も一緒に工務課に異動するのよ。彼女は何か言っていた?」

「ああ、“ちょっと厳しいけど、とても頼りになる方ですよ。”って言っていた。」

私は聞いた通りだとホッとした瞬間、総の言葉はまだ続いた。

< 103 / 169 >

この作品をシェア

pagetop