10歳の年の差はどうやって埋めますか？

私と長谷川さんが笑った。

「同じ課になったのだから、けじめはつけなくてはね。私の上司になるわけだから。」

会議室へ向かいながら、清水課長はニコニコだ。

「佐野と直接仕事を一緒にするようになるなんてな。」

私を見て微笑むと、会議室へ入って行く。

清水課長は総務課の課長と仕事の中身を確認済みのようだ。

そして一つ一つ、工務課で処理する方が良い仕事内容を私に確認していく。

「当然、現場の完成チェックは佐野と長谷川のどちらかに同行してもらう事になる。長谷川はどうだ？」

「うん、まだ同行はした事がないわね。一度、清水課長が現場で教えた方が良いと思う。」

「それは係長に任せよう。」

清水課長はニッコリと私に笑いかけた。

「清水課長が直々に仕込んだ方が早いんじゃない？」

やっぱり同期で一番の出世頭だ。