10歳の年の差はどうやって埋めますか?
長谷川さんがこちらを見て言った。

「ごめんなさい。なかなかキリが付かなくて。」

基本、うちみたいな建設会社にはきちんとした昼休みはない。

それぞれが時間を見計らって、勝手に昼食を取るのだ。

「さすがにお腹が空いたから、ちょっと出てくるわ。」

清水課長はその場で合図を送る。

「後はよろしくね。」

二人で会社を出た。

「清水課長。」

私がそう呼びかけると、ムッとして清水課長は振り返った。

「休憩中くらい、いつもの同期に戻ろうぜ。前みたいに呼べよ。」

「別にどっちでもいいじゃない。部下の前で呼び間違えると面倒だからこのままで良いよ。」

私はふうっと息をついた。

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