10歳の年の差はどうやって埋めますか?
長谷川さんが横から声を掛けてきた。

私ほど遅くはならないけれど、長谷川さんが懸命に仕事に取り組んでくれているのはすごく伝わってくる。

「ただ明日は一つ完成チェックが入っているから、昼から現場に出てもらうぞ。」

私は分かったとうなずいた。

その後、若い監督さんから書類の確認が来た。

私達は面と向かって、打ち合わせをする。

今までは書類が工務課から総務課に回って来て、それに不備があると付箋やメモをつけて返すという機械的なやり取りをしていた。

しかし今は違う。

きちんと書類を前にして指示をすると、その監督さんの表情が明るくなった。

「勝手に思い込んで作成していたから、訂正ばかりが多くて書類の処理が大嫌いでした。佐野課長補佐の教え方は分かりやすいです。ありがとうございました。」

頭を下げて、自分のデスクに戻った監督さん。

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