10歳の年の差はどうやって埋めますか?
こう言ってもらえると、工務課へ来た甲斐があるというものだ。

「佐野達が来てから、監督たちのデスクでの内業の処理が早くなって、現場に専念しやすくなった。有りがたいよ。」

清水課長からもお褒めの言葉をもらった。

「長谷川さんも良い戦力でしょ?」

そんな私の声が聞こえたようで、長谷川さんから軽く手をあげてひらひらさせた。

「私も頑張っています。」

書類から少し目を上げた長谷川さんの姿に、清水課長と私は笑う。

久しぶりにデスクワークに徹した一日だった。

それでも帰りは11時頃だった。

「毎日こんなに遅くて、体調は大丈夫なの?」

お風呂上りにお母さんに言われてしまった。

「うん、ちょっと疲れがピークなのか、ふわふわする。貧血ぎみかも。」

私は風呂上がりのせいでもあると思って、あまり気にしてはいなかった。

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