10歳の年の差はどうやって埋めますか?
私は自分の立っている位置を改めて確かめる。

「さっ。」

腕を取られ、さっきより近い位置で二人が絵の前に並んだ。

隣り合った腕同士が触れるかどうかの距離。

「行きましょうか。」

とてもご機嫌そうな表情の彼と私は一緒に歩き出した。

さっきとは逆で、彼が前で私が後ろ。

当然初めは緊張していた。

しかしその状況に慣れてくると、私はいつの間にかいつものように絵に集中していた。

そして次の絵に移ろうとすると、彼の視線と自然にぶつかる。

背の高い彼の目線に合わせるのに、私は彼を見上げる。

まるでどちらからともなく、次へ移る合図をするかのように。

多分他の人から見れば、知り合い同士に見えるだろう。

その居心地の良さに、私はいつまでもこの状態が続けばいいなと思ってしまった。

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