10歳の年の差はどうやって埋めますか?
すると清水課長のホッとしたような、安堵の声がした。

「佐野、お前が居ないと俺は仕事をする気になれない。だから早く身体を直して出勤してくれ。」

弱っている私にはすごく嬉しい言葉だった。

少し泣けてくる。

「久しぶりに同期に戻ったみたいだな。本当はその方が良いんだけどな。」

「あっ。」

私は電話口で清水君と呼んでしまった事に、気が付いた。

「今はそれでいい。とにかく早く身体を治せよ。」

私はスマホを枕元に置いた。

ああ、心配してくれる人がいるって有りがたいな。

目をつぶると、最初に出てきたのは…。

総…、もう市役所についているかな。

自分の中で一番私の事を心配してもらいたいのは、やはり総みたいだ。

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