10歳の年の差はどうやって埋めますか?
私は気の抜けたような微笑みを返した。

「佐野のそんなにへばっている姿を初めて見るな。」

清水課長は何か珍しいものでも見るように、私の顔を見る。

「もう無理が利かない歳になっちゃったのかな。若い時は無理しても大丈夫だったのに。」

私は情けない声を出した。

その瞬間、身体から力が抜けた。

そして清水課長に抱きかかえられた。

「おい、無理するな。」

「ありがとう…。」

そう言って顔を上げた時、清水課長の肩越しに総の姿があった。

「悠希…。」

私と清水課長の様子に明らかに動揺している。

「現場周りと言って、悠希の様子を見に来たんだけど…。あんなラインだけでは状況がさっぱりつかめなかったから…。」

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