10歳の年の差はどうやって埋めますか?
そして総は唇をきゅっと結んだ。

その切ない表情で、明らかに私達の事を誤解しているのが分かる。

「ごめんね。あれだけ送るので精一杯だったの。ずっと眠っていたから…。」

私は総と話がしたくて、清水課長から離れようとした。

しかし清水課長は私を支えている腕に力を入れた。

「市役所の方は時間が制約されているでしょう?俺は時間に融通が利くので、佐野の事は任せてください。」

これが大人の余裕の笑みなんだろうか。

そして清水課長はゆっくりと総を見た。

「お若いですね。そんなあなたが佐野をちゃんと支えていく事は出来るんですか?」

総は何も言えないようで、身体をわずかに震わせているように見える。

「…悠希、また連絡するよ。」

私に視線を合わせた後、総は清水課長に頭を下げた。

「悠希をお願いします。」

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