10歳の年の差はどうやって埋めますか?
違う、私が居て欲しいのは…。

総の背中が見える。

「総…、総、待って。」

私の言葉は弱々しくて、とても総には届かない。

「佐野、とにかく横になれ。ベッドまで連れていくよ。」

すると清水課長は私を抱き上げた。

もしかしたらその様子も総に見られているかも…。

「佐野…。」

清水課長には今の私の顔を見られたくない。

思いきり顔を背ける。

でもそれには無理があって…。

「佐野、泣いているの?」

清水課長は私の顔を覗き込んだ。

「お願い、見ないでよ。お願い…。」

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