10歳の年の差はどうやって埋めますか?
「佐野課長補佐でないと分からない事が多すぎて…。」

長谷川さんが私に苦笑いをする。

「まだまだ私なんて全然なんだなって、実感しました。」

そんな長谷川さんに私は嬉しく思う。

「長谷川さんに足りないのは経験だけよ。ちゃんと頼りにしているからね。」

「おーい、みんな。あんまり佐野をこき使うなよ。」

そう言いながら、清水課長が工務課に入って来た。

私は少し緊張したが、いつもと変わらない様子でやり過ごすと決めていた。

この辺は年齢がなせる業だと思う。

「おはようございます、清水課長。随分ご心配とご迷惑をお掛けしました。」

私は深々とお辞儀する。

「この二日、清水課長は仕事も手につかなかったんですよ。ちゃんと働くように佐野課長補佐からも言ってやってください。」

そう長谷川さんが言うと、そばに居た監督さん達も笑う。

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