10歳の年の差はどうやって埋めますか?
「悠希?」

私はその声に振り向いた。

「総、良かった。会えた。」

私はふっと息を吐いた。

「顔が疲れているよ。さあ、早く家に入ろう。」

総は慌てて、鍵を開けてくれた。

「まだ本調子じゃないだろう。ちゃんと身体を休めなくちゃダメだろう。」

何だか総の言葉が突き放したように聞こえる気がする。

待っていた自分が情けなくなって来た。

「だって…。」

身体が参っている時は、少しの事で弱気になってしまうのだろうか。

「ん?」

総のネクタイを外す手が止まる。

「会いたかったんだもの…。ちゃんと話がしたかったんだもの…。」

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