10歳の年の差はどうやって埋めますか?
総は私の顔をじろじろと見た。

「そんな直接的な言葉を言っているんじゃない。悠希が居なかったら仕事が手につかないって、本人以外の人が指摘したんだろう?悠希の話を聞いていると、すごく仕事が出来る人なんだろう、清水さんって。そんな人がそんな状態になってしまうっていうのは…。」

「それは仕事上、私のフォローが必要って事じゃないの?」

私は不思議そうに、総の顔を見た。

「男はそんな事でやる気まで左右されないよ。それは男前の悠希なら分かるだろう?」

確かに…。

「そういう男心を理解出来ないから、悠希は今まで結婚出来なかったの。分かったか?」

シュンとする私。

今までそんな風に考えた事がなかったな。

清水課長が完成チェックを私に初めて依頼してきたのは、ちょうど1年前。

ちょうど奥さんと別居したころだ。

その行動そのものが私へのアプローチの始まりだったのだろうか。

< 137 / 169 >

この作品をシェア

pagetop