10歳の年の差はどうやって埋めますか?
総は嬉しそうに私と視線を合わせたまま微笑む。

「新婚さんに見えるかもよ。」

私の顔が赤くなる。

最近の総はこういう事を平気で言う事が多くなって来た。

「電車が来たよ。俺からはぐれないでね。」

休日の朝早い電車の割に混んでいる。

「悠希、こっち。」

総に促され、総の前にうまくスペースを確保した。

「レンタカーにすれば良かったかな?」

総が私を守るように立っている。

「大きな駅からは特急に乗るんだから、少しの間だけじゃない。」

私がそう言った瞬間に、電車が大きく揺れた。

「悠希、大丈夫?」

つないでいた手はほどかれ、私は総の服に右手を掛けた。

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