10歳の年の差はどうやって埋めますか?
「そうなの。仕事が忙しくてもこうやって総と会う事が、一番のストレス解消になっている事に気が付いたの。会った後は仕事を頑張ろうと思えるの。」

アパートに私が行ったり、総が家へ来たり、そういう回数は確実に増えてきている。

そして私は総に微笑んだ。

「ありがとう、総。」

「悠希ってさ、そういうセリフが男にとってどんなに嬉しいか分かって言っているの?」

「えっ?」

「やっぱり男心を分かってないんだよな。」

総は私を困ったように、見下ろした。

「さっ、乗り換えだ。」

総の顔が赤いように感じたけれど、それは黙っておこう。

特急の指定席に乗ると、その程よい揺れに私はいつの間にか眠ってしまった。

「疲れているんだな。」

総が耳元で囁いて、私の髪を撫でたような気がする。

< 147 / 169 >

この作品をシェア

pagetop