10歳の年の差はどうやって埋めますか?
私は総の胸に手を当てて言った。

少し総が落ち着くように…、そう思って。

総はその私の左手を自分の胸の前でぎゅっと握った。

「もうはっきりしない悠希の返事を待つのは嫌だ。ラインも無視するし…。」

総は少しイラついているように見える。

「あのね、総…。」

私は周りをきょろきょろする。

「悠希、ここで返事をしろ!しなければ、NO という答えだと受け取る。その場合、俺はもう悠希の人生から姿を消す。」

「あっ…。」

私は思わず下を向いた。

「悠希?」

私は一度目をぎゅっとつぶった。

「…そんなこと言わないでよ。あなたが居なくなったら、私は美術館に誰と来たらいいのよ…。」

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