10歳の年の差はどうやって埋めますか?
知らないうちに頬を涙が伝う。

これだけは総に気が付かれないようにしたい。

「私は大人の女性なんかじゃない。本当にただのダメ女なのよ。」

私は投げやりに言う。

「…悠希、それでいいじゃない。無理して頑張らなくてもいいよ。10年早く生まれてきたのは、そんなに負い目に感じることなの?」

ダメだ、涙があふれてくる。

「悠希の全部を受け止めるから。最初の笑顔の時みたいに、絶対逃げ出したりしないから。」

総が立ち上がった…、と同時にドアが開いた。

「俺、もうダメなんだ。悠希が居ないと、何もする気になれないんだ。以前の清水さんみたいだな…。」

すごく切ない顔をした総が私を見下ろす。

そして私の前にしゃがみ込んで、私を見つめた。

「触れても良いか?悠希。」

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