10歳の年の差はどうやって埋めますか?
すると総は微笑むと、今度は総から私にキスをした。

「悠希の気が変わらないうちに…。」

総の唇が首元から胸へと降りてくる。

私は知らないうちに、総の名前を連呼していた。

「悠希は何でも自分で出来てきたから、人に頼ったり甘えたりすることがなかったんだろう。」

総の言う通りかもしれない。

父を早くに亡くし、母と二人三脚で妹を結婚までこぎつけた。

仕事だって、まだ結婚退職の多かったころに入社したから、先輩に教わるというより自分で努力してきた部分が多い。

「俺が悠希より少しでも早く生まれていたら、もっと早くそんな悠希を見つけられたかもしれないのに…。」

私はうっすらと目を開く。

総の顔が真正面に見える。

「俺達に何かが起こったら美術館に行こう。そうすればすべて解決するから。」

その瞬間、総が私の身体を貫いた。

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