10歳の年の差はどうやって埋めますか?
私は思わず自分の口の前に指を一本立てた。

「お話は出てからにしましょう。」

松田さんは分かったというようにうなずくと、そこからは沈黙が始まった。

しかし視線をどちらともなく合わせて、次の絵に移って行くのはこないだと同じ。

この感覚が私は好きだとジワリと感じる。

ただ今日は思ったより繋がれた手に意識がいく。

大柄なせいか、私を包む松田さんの手も大きい。

そしてちょっと冷たい。

もしかして外でずっと待っていたのではないだろうか。

私はふとそう思い、松田さんの手を見た。

「どうかしましたか?」

ちょうど絵を移るタイミングだったのか、松田さんは私に視線を合わせた。

「いいえ。」

私達は次の絵に移っていく。

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