10歳の年の差はどうやって埋めますか?
一番初めの絵の前で多くの人が立ち止っている。

その大きな絵は中世ヨーロッパの偉大な女王の肖像画だった。

全く知識のないまま、その絵を見上げた。

「何か…、凄いな。」

そんなありきたりの言葉が口から出た。

そして角度を少し変えて、それから近づいてその絵をまた眺めた。

何となく満足をして、次の絵に移る。

それがいつもの私のスタイル。

美術館の3分の1ほど進んだ所で、私はいつもと違う雰囲気を感じ始めていた。

私の少し前を行く人と同じタイミングで絵を移る事に気が付いたのだ。

どちらもその動きを合わせているつもりはない。

しかし結果的に一定の距離を保ちながら、絵を見ているのだ。

その距離は、ちょうど気配を感じるくらい。

でもその間にはいつも何人かの人がいる。

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