10歳の年の差はどうやって埋めますか?
そして私を心配そうに見た。

「もしそうだったら言って下さい。今なら何とか諦められると思いますから。もう待ち伏せもしないので、安心して美術館にも来てください。」

私は想像もしていなかった言葉が、松田さんの口から語られることに驚いた。

「だから今日は話だけでも聞いてもらいたくて、あなたに逃げられないように手を握らせてもらいました。失礼だと思ったんですけど、それしか思いつかなくて。」

大胆に見えたそんな行動も理由を聞くとたわいもないわけで…。

「でもすごく新鮮で、柄にもなく緊張してしまって。中でしゃべり過ぎてしまいましたね。」

私は落ち着き払って見えた松田さんがそんな事を考えていたことに更に驚く。

「あの…。」

私はゆっくりと松田さんに目を合わせる。

「私もお話して良いですか?」

今度は松田さんが驚く番だった。

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