10歳の年の差はどうやって埋めますか?
「すいません。興奮してしまって自分ばかりがしゃべっていましたね。」

松田さんは恥ずかしそうに頭を掻く。

「はい、こないだだって言いたい事だけ言って帰ってしまうんですもの。…次はどう会うんだろうって思いました。」

私は松田さんの様子ににこりと笑う。

「えっ?」

「あなたとああいう風に絵を見る感覚が好きです。でもその事に戸惑っていたのも事実です。」

私は一度息をつく。

「仕事が忙しかったのは本当の事ですが、それを理由にして美術館に足を運べませんでした。避けていた訳ではありませんが、どうしたらいいのか迷っていたのです。」

そしてもう一度松田さんを見る。

「もしあなたに会えなかったら、すごくがっかりする自分が想像できていたからかもしれません。」

「えっ?」

「先程聞いたところによると私の方がだいぶ年上のようですね。それが気にならなければ…。」

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