10歳の年の差はどうやって埋めますか?
私は視線を下に向け、ごにょごにょとごまかすように話す。

松田さんは少し顔をかしげると、もう一度私の手を取った。

今度はタイミングが悪く、しっかりと捕まってしまった。

「松田さん、今日は…。」

「私と手をつなぐのは嫌ですか?」

松田さんはハッキリとした口調で私に言った。

私が戸惑っていると、松田さんは言葉を畳みかける。

「いくら悠希さんが嫌でも、私はあなたの手を離しませんけどね。」

また松田さんは私が作った壁を乗り越えてしまう。

「観念してください。」

「でも…。」

私の手を引いて前へ歩みだそうとした松田さんは、私を振り返った。

「自分より若い男とは手が繋げませんか?」

そのものズバリを松田さんに突かれて、私は松田さんを見上げる。

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