10歳の年の差はどうやって埋めますか?
「私はこの歳では悠希さんに釣り合わないかとちょっと心配していたんです。」

「えっ?」

「私は悠希さんに比べるとただの若造です。あなたが持っている経験も落ち着きも持ち合わせていない。だからそれを気にされているのかと思いました。」

若い人は若い人で、年長者にそんな思いを抱くんだ…。

「良いじゃないですか。それでも一緒に居たいと思ってしまうんですから。」

松田さんはニッコリと笑う。

「舞い上がってしまいましたってラインをもらった時、すごく嬉しかったんです。」

松田さんはつないでいない右手で私の頭を撫でた。

「どう受け取ったって、いい感触ですよね。“嬉しい”とか“私もです”とか言われるより、ずっと私にはぐっと来たんです。」

そして私に視線を合わせた。

「大人の女性の可愛らしさを見た感じがしたんです。」

私の顔はきっと赤くなっている。

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