10歳の年の差はどうやって埋めますか?
経験だって30歳なら、そこそこは積んでいるだろう。

そして男性としては少し堅物かもしれない。

「悠希さん、ちゃんと絵を見ていますか?」

最初の絵を過ぎたところで、松田さんに話しかけられた。

「えっ?」

私は少し松田さんの事に気を取られ過ぎていたようだ。

「あなたと視線が合わないと、次にいけません。」

松田さんはつまらなそうに私に言った。

「ごめんなさい。」

私は素直に謝った。

一緒に絵を鑑賞するのは、二人にとって特別の事であるから。

それから私達は絵を見る事に集中した。

いつものあの感覚がよみがえる。

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