10歳の年の差はどうやって埋めますか?
「ごめんなさい。でも止まらなくなってしま…。」

時間が止まったかと思った。

背の高い松田さんが身をかがめて、私に顔をよせた。

あの名前を聞かれた時のように。

でもその時と違うのは、私の口元に近づいたのは松田さんの耳ではなく唇だった。

それは避ける暇もなく…。

「すいません。」

なぜか謝る松田さん。

「まだお付き合いも始まっていないのに…。」

ああ、そういう事か。

松田さんは真っ赤になって、額に手を当ててうなだれている。

「大人の女性に一番嫌われる事をしたような気がする。」

そんな事をブツブツ言っている。

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