10歳の年の差はどうやって埋めますか?
もしかしたら松田さんは勢いだけで、後先考えずに私の事を好きだと思い込んでいるだけかもしれないし…。

大きな大きな壁が私の前に立ちふさがったような気がした。

「私の気持ちは変わりませんからね。」

また松田さんから全てを見抜かれているような言葉が出た。

どうしてこの人は私にタイミングよく言葉をくれるんだろう。

「悠希さん、私の前では頑張らないで下さいね。あの市役所へ来るような表情は見たくありませんから。」

私は松田さんを見上げた。

「私はそんなに怖い顔をしていますか?」

私としては真剣に仕事をしているだけなのに。

もちろん市役所で会社関連の書類を提出する時は、ダメ出しをされたり、持ち帰って修正ののち、再提出を求められる時もある。

それを最小限の手間で済ますために、いろいろと頭でシュミレーションしているのだ。

「まあ、制服姿だという事もあるかもしれませんが…、やっぱりちょっと怖いですよ。」

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