10歳の年の差はどうやって埋めますか?
やっぱり書類を見ながら、私は答える。

「まあ、よろしく頼むよ。」

清水君は笑いながら、自分の課に帰って行ったようだ。

「長谷川さん、これOKだから市役所に出してきて。」

「はい、ありがとうございました。」

自分で市役所という言葉を出して、一瞬ドキリとする。

松田さんもお仕事しているかな。

ふっと私はそんな事を考えた。

家に帰ってからも、次々と送られてくるラインに私は翻弄されていた。

松田さんは何としても私の言葉で返事が欲しいらしい。

会っている時は、私に有無を言わせない状態に自分がしたくせに。

どうも帰宅してから、私がはっきりと意思表示をしなかった事が気になったらしくそれを催促してくる。

「はぁ~。」

珍しく私からため息が出た。

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