10歳の年の差はどうやって埋めますか?
私からの言葉がそんなに必要なのかな…。

どうも今更の感があって、私は途中でスマホを放り出してしまった。

きっと松田さんは怒っているだろう。

返信が来なくて、不安だとこないだ言われたばかり。

怖くて今朝はスマホも覗けない。

「では、市役所に行って来ます。」

長谷川さんが出て行った。

その声に私は我に返って、自分の仕事を片付け始める。

集中していると、その時間はあっという間に過ぎる。

「もうこんな時間だ。」

時計は11時を少し過ぎている。

私は更衣室で女性用の作業着に着替えると、ヘルメットを持って自分のデスクへ戻る。

「佐野さん、現場ですか?」

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