10歳の年の差はどうやって埋めますか?
そこに市役所から帰って来た長谷川さんが近寄って来た。

「ええ。書類は大丈夫だった?」

私はうなずきながら、長谷川さんに聞いた。

「はい、ちゃんと受理して頂けました。ところで…。」

長谷川さんの後ろから清水君がやって来たのが見えた。

私はそちらに手を上げて、合図を送る。

「佐野さんは市役所に知り合いがいますか?」

長谷川さんの問いに、私ばかりではなく清水君も反応した。

「いいえ…、建設課でしょう?」

確かあの書類は建設課に提出するものだったはず。

私がそう言うと、長谷川さんの首を横に振った。

「そうではなくて、その方は水道課の方から出て来られたんです。」

「えっ、そんな知り合いがいるの?」

長谷川さんの横に来た清水君が言った。

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