10歳の年の差はどうやって埋めますか?
「そうしたら、ちょっと意外そうな顔をしていましたよ。」

それはそうだろうな。

会社でのこんな私の様子はきっと松田さんには想像できないはずだから。

まして今は作業着にヘルメットを持つ私。

「どういうお知り合いの方なんですか?」

長谷川さんは不思議そうに聞く。

部下の長谷川さんからすると、市役所の、ましてはかなり年下の男性に私の知り合いがいる事は意外だろう。

これまでに触れた事もなかったし。

「最近、ちょっと話す機会があっただけ。…仕事上でね。」

私はちょっぴり嘘をついてしまった。

何となく長谷川さんは納得できないような表情をしている。

「おい、佐野。お昼を取る時間が無くなる。悪い、長谷川、俺達出るわ。」

清水君の何気ない言葉に、助けられたような気がした。

「ごめんね、長谷川さん。後は頼むわね。」

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