10歳の年の差はどうやって埋めますか?
確かに建設会社の監督は大変だ。

現場で何か事故でも起こると、いつでも呼び出しがかかってしまう。

ましてはそれを束ねるようになった清水君は役職も課長となり、普段でも帰りが遅いし、休日も返上で働く事もある。

自分が持っている現場だけではなく、全体を把握しなくてはならない。

「子供でも居れば、また違ったかもしれないんだけどさ。」

ちょっと強がっている清水君の姿は少し痛々しい。

「あいつの中の何かがキレてしまったみたいでさ。もう俺の顔を見たくないんだと。」

「ちょっとそれは悲しいね。ずっと一緒に生活していたのにね。」

私も少ししんみりとする。

「まあ、そういう理由で、もう仕事に集中するしかなくなったんだ。だから時々はご飯でも一緒に食べに行って、俺を励ましてくれ。」

ニヤッと笑う清水君は、いつもの調子に戻ったようにも見える。

「そんな事ならお安い御用よ。どうせ私には何の予定も入らないから。」

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