10歳の年の差はどうやって埋めますか?
2
「行って来ます。」

私の声に、お母さんがバタバタと奥から出てきた。

「また一人で美術館?」

「そうだけど…、何か?」

私の返事に溜息をつくお母さん。

「いつになったらデートにでも行ってくれるのかしらね。」

確かに40歳になった娘を心配するのも分かる。

でも…。

「そんなお相手もいないんだからしょうがないでしょう。」

二人で顔を見合わせて、苦笑いをする。

「お見合いの話でも探して来るわ。」

「それは勘弁してよ。」

私達の会話は最近このセリフの繰り返しだ。

本気でそんな話を持ってくることはないだろうと思いながら、いつも私は笑い飛ばす。

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