10歳の年の差はどうやって埋めますか?
一戸一戸チェックしなくてはならないので、案外手間もかかる。

私達はヘルメットをかぶる。

前はその事が嫌だった時期もあったけれど、仕事には慣れも必要だ。

「このクロスは雑だな…、床も細かい傷があるし…。」

清水君が話す言葉を、私がチェックシートに書きこんでいく。

これも慣れないと、項目を探すだけでも時間がかかってしまう。

やっと最後の部屋を終えると、夕方になっていた。

「こんにちは。」

そこには私達とは色が違う作業着を着た二人の男性。

「あっ、メーターの確認ですか?」

清水君は相手を知っているらしく挨拶をしている。

「佐野、こちらは市役所の水道課の係長さん。」

私は清水君の後ろから会釈した。

「本当はこの近くの水道の開通をしに来たんですけど、こちらに新築のアパートが出来たと聞いたので、ちょっと足を延ばして様子を見に来たんですよ。」

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