10歳の年の差はどうやって埋めますか?
私達と同世代に見えるその係長さん。

後ろについている男性も頭を下げている。

その人と目が合った途端、私は押し黙ってしまった。

少し怖い顔で私を睨んでいるのは…、松田さんだった。

「えっ、佐野の知り合い?」

私達の様子を見て、清水君は聞いた。

「まあ…。さっき長谷川さんが言っていたでしょ?」

作業着にヘルメット姿を見られて、私は声も出ない。

「はい、そちらの佐野さんにはお世話になっていまして。」

白々しい松田さんの表情に、私は苦笑いをする。

挨拶が終わったところで、清水君と係長さんは少し雑談を交わしているようだ。

その間に、松田さんが私に近寄っていた。

「そんな姿を見せられるとは思いませんでした。」

私が振り返ると、松田さんは素っ気なく言葉を続けた。

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