10歳の年の差はどうやって埋めますか?
「佐野はさ、その年で俺に全部言われないと分からないの?」

あれ?その台詞、どこかで最近聞いたような気がする。

「佐野と仕事をしていると楽しいんだよ。気を遣わないしさ。」

清水君はそう言うと、私を運転しながら伺う。

「佐野がこの歳まで結婚出来ない理由が分かったような気がする。」

やっと会社の駐車場に、社用車は滑り込んだ。

車をきっちり止めて、清水君はこちらを向く。

「真面目に俺との事、考えてみてくれ。」

そう言うと清水君は車を降りて行った。

車に取り残された私の顔はきっと真っ赤だったに違いない。

私は自分を落ち着かせるために深呼吸をした。

そして少し時間をずらしてから、会社の中に戻って行った。







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