10歳の年の差はどうやって埋めますか?
「まさかね~。」

私は自虐的に笑いながら、歩き始めた。

電車を乗り継いで、家へ帰る。

私は早くに父を亡くしたため、母と二人暮らしだ。

妹が一人いるが、とっくに結婚していた。

そのため実家に居る事が快適で、特に結婚について深く考える事がなかったのかもしれない。

いわゆる結婚願望がなかったんだと思う。

仕事が楽しくて、やりがいがあったのも理由の一つだろう。

自分では会社に居る自分が自然で、清水君も言っていたけれどどちらかというと「男前」…、つまり男っぽい性格だと思う。

でも…、松田さんの前での自分に驚いている。

年下の松田さんの態度に押され気味の自分に少々戸惑っている。

松田さんの告白にもきちんと答えられない自分はきっと逃げているんだろう。

「悠希さん。」

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