10歳の年の差はどうやって埋めますか?
駅から家までの道を考えながら歩いていたから、名前を呼ばれて私は驚いた。

「松田さん、どうしたんですか?」

家の近くで松田さんは待っていたようだ。

「少しお時間をもらいます。」

松田さんはきっぱりとそう言うと、昨日のように私の手を取る。

その手はやっぱりほんのり冷たい。

今はもう10時を過ぎた頃。

「松田さん、いつから待っていたんですか?」

私は手を引かれながら、松田さんに呼びかける。

「今日は市役所を6時頃に出ました。」

「すいません。随分待たせてしまったのですね。」

私は申し訳なくて、松田さんに謝る。

「悠希さんの帰宅時間なんて知りませんから、私は何としても悠希さんを捕まえようと、とにかく早くからここで待ち伏せすることしか考えていませんでした。」

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