10歳の年の差はどうやって埋めますか?
私は身体をびくつかせた。

「そっちじゃないでしょう?」

そこにはあの男性が立っていた。

「えっ…、えっ?」

さっきまで意識をしていた人が、不意打ちで目の前にいる。

しかも腕を掴まれて。

「…離して下さい。」

私の第一声はなんと素っ気ないものだったんだろう。

「あっ、すいません。」

その男性も思いがけない事を言われたかのように、慌てて手をひっこめた。

「あの…、何か御用ですか?」

私は相手の意図が分からなくて、オドオドと聞いた。

「一緒に回りませんか?あなたとならお互いを邪魔せずに、思いのまま回れるような気がして。」

やっぱり同じことを感じていたんだ。

< 9 / 169 >

この作品をシェア

pagetop