10歳の年の差はどうやって埋めますか?
「同じ課に所属になると接触が増えるから、これで佐野を落としやすくなる。」

「えっ?」

私は身体がびくっと反応する。

清水君はスッと私から離れると、ニッコリと笑った。

「じゃあ、その節はよろしく。」

そして爽やかに去っていく。

それと入れ替わるかのように、長谷川さんがデスクにやって来た。

「佐野さん、何のお話ですか?私も関係することですか?」

多分私達の会話に自分の名前が出てきたことが聞こえたんだろう。

その後の清水君のセリフは聞こえていませんように。

「うん、私達、工務課に異動になりそうなんだって。まだはっきりしないから、ここだけの話にしておいてね。」

私は周りを見渡してから、口の前で人差し指を立てる。

「そうなんですか。」  

< 90 / 169 >

この作品をシェア

pagetop