10歳の年の差はどうやって埋めますか?
「こんな事を聞くのは失礼だと承知して聞く。今の話だけでも、女性としては異例の出世だ。その分仕事内容は大変になる。」

私は部長の言葉にうなずいた。

「君には近々結婚の予定とかはないか?」

ああ、そういう事…。

「大丈夫です、部長。もう結婚は諦めていますから。」

私は何でもないかのように笑った。

「そうか。そんな予定でもあれば、相当体力的にも時間的にも大変になるだろうから考慮も必要かと思ったんだ。済まない、こんなにストレートに聞いて。」

こんな所にも部長の人の好さが出ている。

「お気遣いありがとうございます。」

「じゃあ、長谷川を呼んできてくれ。」

私は会議室を出て、長谷川さんに声を掛けた。

「内示が出たみたい。詳しい話を聞いてらっしゃい。」

「はい。」

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